前から気になっていた作品の「Wo Long:Fallen Dynasty(以下ウォーロン)」。
8月25日に「アーマード・コア6」という今世紀最大の大作を前に、ちょっと小腹を満たすような暇つぶしをしたいとAmazonをさまよっていた所、目についてポチってしまいました。
制作が「Teams NINJA」なので、ちょいと癖ツヨな作品でしたが、楽しめてクリアできたので、レビューさせていただきたいと思います。
三国志が舞台のソウルライクゲー
ウォーロンは後漢末期時代、いわゆる「三国志」の時代が舞台となっています。
「Team NINJA」は「仁王」シリーズなど、ソウルライクながらも、ダークソウルとは別の作風を追求しているコーエーテクモのチームです。
仁王シリーズもオススメ!!
「仁王2」/コーエーテクモ
その独自性も踏まえて紹介していきます。
仁王×SEKIROなゲームデザイン
ウォーロンは防御性能が高く、防御主体な戦い方が有利になります。
さらにボスが繰り出す特殊な攻撃をカウンターすることで、大ダメージを与えるチャンスが得られます。
「Team NINJA」といえば仁王シリーズですが、さらにそこにフロムの「SEKIRO」のエッセンスを加えたゲームデザインだと感じました。
ハードな名作でした。
「SEKIRO」/フロム・ソフトウェア
とはいえ、SKIROほどシビアな防御を求められるわけではなく、回避主体で戦うことも可能です。
ほかにも、ステージを立体的に跳躍する様はSEKIROの忍者味を感じさせます。
舞台は三国志だけど(ネタバレあり)
ウォーロンの舞台は三国志ですが、魏や蜀、呉が群雄割拠する時代の前で、ストーリーは終わりを迎えます。
ヒロインの紅晶さん。物語で意外な活躍をする。
「Wo Long:Fallen Dynasty」/コーエーテクモ
人間の秘められた力「仙道」と、仙道を利用して作られる丹薬。それを己が野望のために利用しようとする者たち。そんな彼らと主人公一行。ストーリーの流れは大まかにこんな感じです。
他の三国志ゲーだと、序盤にあたる部分を、本作のストーリーとして完結させる辺りも「NINJA」らしい独自性が感じられます。
扱える武器種は12種類
ウォーロンの武器は、剣や直刀、槍など12の武器種が用意されています。
直刀はムービーでも使われる代表格。
「Wo Long:Fallen Dynasty」/コーエーテクモ
ソウルライクといえば、ストーリー薄め、アクション濃い目な作品が多いので、どのような武器が用意されているのか気になる諸兄は多いでしょう。
私は仙術と相性の良い「棍」を使用していました。
仙術は相手を直接攻撃できるものもありますが、ダメージ控えめで、それよりも自分を強化したり相手を状態異常にするバフ・デバフの役割がメインだと感じました。
もちろん、ダークソウルのように魔術で遠距離戦、という戦闘スタイルを取ることも可能ですが、付帯効果のある装備を揃えなければならず、後半やっと実用できました。
魔術一本槍な私にとっては、最初は戸惑いました。同じ戦闘スタイルを好む方は、ちょっと気にかけたほうがいいかもしれません。
ウォーロンのここが良かった
ここからはウォーロンの魅力についてレビューしていきます。
爽快感と安定感のあるバトル
無双だと、育ってない序盤に来るんで大変なんすよ。
「Wo Long:Fallen Dynasty」/コーエーテクモ
ウォーロンは爽快なアクションが実に楽しいゲームです。
「気勢」という独自のシステムがあります。
スタミナゲージに近いものですが、時間経過による回復よりも、敵を攻撃することで早く回復し、さらにプラスの分も稼ぐことが出来ます。
気勢は敵にも設定されており、削り切ると爽快なモーションから大ダメージを与えることが出来ます。ゲーム中で重要なアクションなので、何度も見ることになりますが、苦労して気勢を削りきったあとの攻撃には、「うぉん!」と思わず声を上げてしまいました。
また爽快感のあるゲームは得てしてスピード感が早くなりがちで、そうなると思わぬ一撃による「事故死」も頻発しがちです。
しかし、ウォーロンは防御主体の戦い方が有利なため、事故死の率はかなり低くいです。敵の行動パターンを把握してしまえば、安定的に勝つこともできます。
中盤の鬼門として、三国志でも名高い呂布がボスとして立ちはだかりますが、最初は「こんなのにどうすれば勝てるのか?」と頭を抱えたのですが、システムと立ち回りを理解することで、かなり安定して勝つことができます。
まさに、ウォーロン屈指の良ボスと言っていいでしょう。
ソウルライクなゲームで、この安定性は特筆したい部分です。
ステ振りがノーコスト
こいつを倒せば待望のステフリが出来る!!
「Wo Long:Fallen Dynasty」/コーエーテクモ
ウォーロンはステ振りが可能です。
ストーリーの「第三節」の最初のメインストーリーをクリアすると、ノーコストでステ振りすることができます。
同じ武器種でも、能力補正が微妙に違っていたり、上げたステータスによって使える仙術が異なってきたりするので、ステ振りがノーコストなのは非常にありがたいシステムです。
ほかにもキャラのステータスごとに保存もできるので、気分を変えて違う戦い方をしたいという時でも、気軽に変更することもできます。
ステージ制でついついやり込んでしまう
ちょっとしたハクスラ要素もあります。
「Wo Long:Fallen Dynasty」/コーエーテクモ
ウォーロンは、ステージを選択して目的を達成するシステムとなっています。仁王もこのシステムだったので、ピンと来る方も多いのではないでしょうか。
物語が大きく動く「主戦場」と稼ぎに最適な「副戦場」があり、またハクスラ要素もあるため、ちょっとのつもりが、副戦場をいくつもクリアして、やりこんでしまったという経験が何度もありました。
ただ、純粋に区切りも決めやすいので、忙しい社会人の方には、おすすめしたい点です。
ウォーロンの悪かった点
ここからは、プレイして悪かった点をレビューしていきたいと思います。
ウォーロンは独自のシステムが多数盛り込まれていますが、プラスに働く反面、マイナスに作用する場合も多くありました。
ビルドが無個性&武器によって縛りが出るシステム
ウォーロンで上げられるステータスは「木」「火」「土」「金」「水」の5種類です。これらを上げることで、体力や攻撃力がアップします。
それぞれのステータスは「体力が上がりやすい」や「装備重量が上がりやすい」という特徴がありますが、概ね全体的に上がるようになっています。
なので、ストーリーを進めていくと「木:1」「火:50」「金:30」のように極端なステ振りになりがちです。
また武器種によって、補正が概ね決まっているので、選んだ武器によって軽量級・重量級が有利になるようになっています。
ステータスの種類が少なく、キャラ育成の自由度が狭まってしまう感じがあるのは否めません。
また各ステータスによって、使える仙術が決められていて、魔術師・遠距離タイプのキャラ育成がしづらいような印象もあります。
自分の得意な戦闘スタイルが通用するかで、ゲームの評価も変わる部分です。
ソウルライクなデザインと相性が微妙な「士気」システム
ウォーロンには、「士気」というシステムがあります。
士気システムは評価が難しい……。
「Wo Long:Fallen Dynasty」/コーエーテクモ
敵を倒すことで上がっていき、それによって攻撃力が上がったり、仙術の消費ポイントが下がったりと多くのメリットがあります。
しかし、死亡すると士気レベルは一定値ダウンしてしまいます。
死にゲーとされるウォーロンでは、「士気」システムはちょっと微妙な評価となっています。それが顕著になるのが、ステージの最後に待ち構えるボスとの戦いです。
ソウルライクゲーでは、ボスは一度で倒せるものではなく、何度も戦い、動作や弱点を把握して勝利、という形になりがちです。
その中で何度も死んでしまうので、上がった士気ランクが下がり、次戦がより不利な状況で戦うことになってしまいます。
「軍旗」などで士気の底上げできますが、最大レベルまでは稼ぐ必要があるので、ボスを倒そうと決めた戦いの前にレベル上げというワンステップが入り、人によっては面倒に感じるでしょう。
強ボスで進行が止まりがちなソウルライクゲーにとって、ちょっと相性が微妙なシステムと言えるでしょう。
探索必須のゲームデザイン
ウォーロンは探索が重要になってくるので、探索が苦手、面倒という人にはちょっと勧めづらい部分になります。
探索。好き派と嫌い派、どっちが多いんだろ?
「Wo Long:Fallen Dynasty」/コーエーテクモ
軍旗はマップの各所に標旗が設置されていて、プレイヤーが自軍の軍旗を立てることで、士気の底上げができます。軍旗を立てるのは、ゲームを進める上でかなり重要なので、自ずとマップを探索する必要が出てきます。
しかし、ウォーロンは大まかな位置を把握できるレーダーのようなものはありますが、マップはありません。
未知の場所へ分け入って戦うので、マップがないのはデザインとして当然かもしれませんが、探索が重要なこの作品では、不便さを感じてしまいます。
個人的には、プレイヤーが気軽における道標のアイテムが欲しかったなと思っています。これがあれば、探索が面倒派な私でも、もっと気軽に探索が出来たでしょう。
一部クソボスあり
ソウルライクゲーといえば、ギミックで倒す大型ボスも定番です。
ウォーロンには、巨大なボスが何体か登場しますが、どれも不快なストレスを感じさせるものが多かった印象です。
特に記憶に残っているのが「饕餮(トウテツ)」です。
お分かり頂けるだろうか……。
「Wo Long:Fallen Dynasty」/コーエーテクモ
牛やら何やらが混ざりあった禍々しいデザインは最高ですが、背景色と同じで認識しづらい特殊攻撃があったり、第三形態の時に身体を登る部分が、画面の暗さもあって分かりづらかったりと、戦っていてストレスを感じる部分が多くありました。
また大型ボスは攻撃の当たり判定が分かりづらい場合もおおく、これもまたストレスになりました。
人型のボスは、どれも良ボスだっただけに、大型ボスの残念さはなんとかならないものかと思えてなりません。
総評 65~85点 癖強のゲーム ハマる人はハマる
評価が難しいゲームかもしれない。
「Wo Long:Fallen Dynasty」/コーエーテクモ
「Wo Long:Fallen Dynasty」は、「Team NINJA」らしい癖の強いゲームです。ハマる人は、ソウルシリーズよりハマるかもしれませんが、ソウルシリーズをイメージして購入すると、面白さが分からずに諦めてしまうかもしれません。
私はそこそこ熱中できた反面、後半の悪い部分の印象も残っていて、クリア後はそこで遊ぶのを辞めてしまいました。
名作とは言い切れないけど、佳作とも言い切れない。プレイヤー側にも相応の理解力が求められる作品だと言えるでしょう。
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